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銀河の彼方からのメッセンジャー

Messengers from a far-off galaxy

Daniel Clery

遠方宇宙からやってくるメッセンジャーの中でも、望遠鏡で集められた光子と肩を並べるものはないし、このメッセンジャーにより、光によっては示されないものが明らかにされる。いわゆるマルチメッセンジャー宇宙物理学は、宇宙線と呼ばれる高速粒子および重力波とともに始まった。重力波は、2015年に初めて検出された時空の「さざ波」であり、Scienceの2016年の「Breakthrough of the Year」に選出されている。2018年、もう1つのメッセンジャーがこの仲間に新たに加わった。その名はニュートリノ。質量が非常に小さいほとんど無質量の粒子で、検出が極めて難しいものである。

この系外銀河起源の「鬼火」の1つは、南極地下深くの1立方キロメートルの氷の塊によって捕らえられた。氷の中に設置された光検出器が、ニュートリノによってごく稀に誘発される微かな閃光を記録したのである。「アイスキューブ」の名で知られるこの巨大な検出器は、これまでにも数多くのニュートリノの検出を記録してきた。その中のいくつかは銀河系外から来たものであったが、その起源天体を特定できたことはなかった。しかし2017年9月22日、ニュートリノが氷中の原子核に衝突し、その到来方向が光センサーによってはっきりと特定できたのである。

ニュートリノ検出を知らせるアラームが他の望遠鏡に送られ、数日後に到来方向が一致する天体が見つかった。ニュートリノがやって来たと思われるまさにその方向に、「ブレーザー」として知られる強烈に明るい天体をNASAのフェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡が発見したことを、この2018年7月に研究者らが報告したのである。ブレーザーは、超大質量ブラックホールが存在する銀河の中心部である。超大質量ブラックホールはその重力により周囲に渦巻くガスを加熱し、ガスの物質を明るく発光させ、この大渦巻からガス粒子のジェットを放出させている。

研究者らは、ブレーザーがニュートリノ検出時にフレアを起こしてニュートリノ源となったことについて、強い確信をもっている。これはすなわち、ニュートリノ望遠鏡が系外銀河に起源天体を初めて同定したことを意味する。この発見は、単なる原理の証明(proof of principle)にとどまるものではない。ガンマ線やニュートリノを放射するブレーザーは、陽子などの他の高エネルギー粒子も放射すると考えられる。このような超高エネルギー宇宙線は時々地球まで飛来するが、その起源は明らかになっていない。いまブレーザーは、その候補となった。

「アイスキューブ」チームは、一瞬にして消え去る系外銀河起源のさらなるメッセンジャーを待望している。しかし、今回初の来訪者を迎えたことで、氷の体積を現在の10倍に増やして検出器を拡張する、ということが必要かもしれない。

 原文(英語版)はこちらから