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#MeTooは社会を変える

#MeToo makes a difference

Meredith Wadman

科学の世界におけるセクシャルハラスメントは、これまで過少報告されていてほとんどが無視されてきた。しかし、今年2018年になって変化の兆しが見えてきた。

6月に米国科学工学医学アカデミー(NASEM)は、アカデミズム科学、工学および医学における女性に対するセクシャルハラスメントに関する画期的な報告書を発表した。この報告書は重大な転機となりそうである。その結論によれば、2つの大規模な大学システムで収集された最近のデータに基づいて、職場や分野にもよるが、女性教職員の50%以上、学生の20~50%がセクシャルハラスメントを受けていることがわかった。最も多かったのは、性差別的な態度、すなわち言葉による、あるいは言葉によらない攻撃的態度であり、性的な誘惑行為ではなく、侮辱や嫌がらせを行うことである。今年にはまた、いくつかの機関が行動を起こした。機関によっては、マスコミ報道や嫌がらせを受けた学生や職員からの正式な訴えを受けて、不適切な行為に対する申し立てが調査によって裏付けられた場合、著名な学者を解雇したところがあった。方針変更を行うと発表した機関もあった。

9月、バージニア州アレクサンドリアにある米国国立科学財団(NSF)のFrance Córdova長官は、大学に対して今後、セクシャルハラスメントの調査中に補助金受給者が休職処分に置かれた時点で、あるいは補助金受給者にセクシャルハラスメントの事実が明らかになった時点で、NSFに報告することを義務付けると発表した。そうした報告がなされた場合、結果としてNSFは「対象者に対する重大な処置」を行う可能性があると述べた。Córdova長官は、科学界がセクシャルハラスメントの被害者たちを保護しなかったことについて遺憾の意を表明し、「こうした放置状態に終止符を打たねばなりません」と宣言した。同じく9月に、Scienceの発行元であるAAASは、AAASフェローがセクシャルハラスメントの加害者であることが立証された場合、この終身名誉の剥奪もあり得ることを盛り込んだ方針を採択した。5月には、全米アカデミーズの会長らが、立証されたハラスメント加害者を名誉ある地位から追放できるような手続きについて検討すると約束した。

ハラスメントの批判者たちにとって、変化のペースが十分に速いとはとても言えない。今年、権利擁護団体#metooSTEMを設立したナッシュビルのヴァンダービルト大学の神経科学研究者BethAnn McLaughlinは次のような事例をあげる。国立衛生研究所(NIH)は、セクシャルハラスメントで調査中の補助金受給者どころか、セクシャルハラスメントで懲戒処分を受けた補助金受給者についてすらも、大学に対して報告を義務付けていない。McLaughlinは一般講演を46秒間の沈黙で始める。NIHはこれまで、「タイトルIX(教育法第9編)」に違反しているかどうかを確認することもなく毎年、科学者やドクターらに資金援助をしてきた。タイトルIXとは米国で制定された、学生に対するセクシャルハラスメントを禁止する公法であり、1972年に制定されたことから、McLaughlinは1年を1秒に当てたのである。この沈黙は、「学界から追われた何百人もの女性たちへの敬意を表しています」とMcLaughlinは述べている。

原文(英語版)はこちらから