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氷河期のインパクト

Ice age impact

Eric Hand

その小惑星がグリーンランド北西部に核爆弾による一斉攻撃のように激しく衝突した直後、岩石は蒸発し、北極圏全体に衝撃波が走った。その傷跡は、直径31kmの衝突クレーターとして残りハイアワサと命名されているが、その大きさはワシントンD.C.がすっぽり入ってしまうほどである。科学者らは2018年11月、航空機のレーダー探査により、キロメー

ハイアワサ・クレーターは、地球上にある最も大きな25個のクレーターの1つである。この小惑星の衝突は、6,600万年前にメキシコで直径200kmのクレーターを残し、恐竜を絶滅させたチクシュルーブの小惑星衝突ほど地球環境を激変させたわけではないが、この衝突もやはり地球全体の気候に大きな影響を及ぼしたに違いない。衝突により生じた融解水は大西洋北部へと流れ込み、ヨーロッパ北西部に暖気をもたらす海流のコンベアベルトを停止させて気温を下げた可能性がある。

レーダー探査の画像から、ハイアワサ・クレーターは極めて新しく、過去10万年前にできたものであることが示唆された。クレーター深部にみられる氷分布の乱れから、この小惑星は1万3,000年前という比較的近い過去に衝突した可能性が示唆される。このことから、この小惑星の衝突はヤンガードリアス期に影響を及ぼしたことが考えられる。ヤンガードリアス期は、地球上で最終氷河期が終わって温暖化が始まったばかりの頃に、再び発生した1,000年に及ぶ地球規模の冷却イベントである。この知見はまた、議論の的となっているヤンガードリアス期のインパクト説の支持者たちを正当化するものとなるであろう。10年前に彼らは、地球外からの影響により、考古学的および地質学的記録にみられる動乱の痕跡を説明できると主張した。しかし、彼らはクレーターの存在は知らなかった。

この小惑星が衝突した時期を正確に知ることは極めて困難である。グリーンランドの他の地域にある氷床コアには過去10万年の記録が保存されているが、この衝突の痕跡は残っていない。確かな答えを得るには、氷の下から吐き出される微細な鉱物結晶に残された放射能に基づいて年代測定を行うという、骨の折れる作業が必要である。

そうした作業により、ハイアワサの小惑星衝突が1万3,000年前に起こったことが示されれば、人類が北米大陸でマストドンを追いかけながら新大陸を横断していた時期とちょうど重なるであろう。太陽の4倍もの明るさをもち、焼けつくような白さで輝く衝突物体が飛んでくるのを当時の人類が見上げたとき、彼らが何を考えたのかを想像すると非常に興味深い。

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