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遺伝子サイレンシング薬が承認に

Gene-silencing drug approved

Kelly Servick

2018年、RNA干渉(RNAi)と呼ばれる遺伝子サイレンシングメカニズムに基づく薬物が規制当局の承認を得た。これは長らく待ち望まれた一歩であり、疾患の原因遺伝子を標的とする新たなクラスの薬物の到来を告げるものとなり得る。

20年前、米国の2人の遺伝学者が、短いRNA分子が、細胞内のタンパク質産生機構に遺伝子情報を伝えるメッセンジャーRNAに結合することによって、遺伝子の翻訳を阻害できることを発見した。この発見は彼らのノーベル賞受賞へとつながったが、それを創薬に応用しようとする試みは、すぐに障害にぶつかった。壊れやすいRNA分子を無傷に保ちながら、適切な組織へ送達するために、科学者らは格闘した。2008年には、マサチューセッツ州ケンブリッジにあるアルナイラム・ファーマシューティカルズ社の研究者らは、その解決策を見出したと思った。それは、遺伝子をサイレンシングするRNAを保護しながら肝臓に運ぶために、脂質ナノ粒子を用いるというものであった。こうして彼らは、心臓や神経に蓄積してそれらに損傷を引き起こすミスフォールドタンパク質の産生を阻止することで、遺伝性トランスサイレチンアミロイドーシスと呼ばれる稀少疾患を治療できるのではないかとの期待を抱いた。

「私たちは熱意をもって最優先で取り組みました」とアルナイラム社の研究開発プレジデントであるAkshay Vaishnawは言う。しかし、この新規ナノ粒子は、問題のある遺伝子をすべての患者において効果的にノックダウンするために十分なRNAを肝細胞内に放出しなかった。しかし、より強力な製剤がヒトの試験で効果を示し、静注薬Onpattroがこの2018年に米国とEUの規制当局から承認を得て年間45万ドルの表示価格で上市された。

2016年に承認されたクラスの異なるRNA薬に続く今回の承認は、この分野を活気づけた、とボストンにあるベス・イスラエル・ディーコネス・メディカルセンターの発生生物学者で、別のタイプの低分子RNAを研究しているFrank Slackは言う。RNAiの研究者の多くは現在、化学的に安定化させたRNAを糖分子に付着させて肝臓まで送り込むという、新たな送達方法に目を移している。アルナイラム社では、眼や中枢神経系など、肝臓以外の組織を標的とする類似の手法を開発した。心臓などのある種の組織にはRNAを蓄積させることは難しいとSlackは言うが、アルナイラム社の成功は「まだ水門を開いたばかり」である。

原文(英語版)はこちらから