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法医系譜学の時代が来る

Forensic genealogy comes of age

Jocelyn Kaiser

2018年4月にカリフォルニア州の警察は、未解決事件の中でも極めつけの迷宮入り事件の1つであった、1970~80年代に同州で発生した連続レイプ・殺人事件の容疑者を逮捕したと発表した。それは驚くような展開であったが、捜査官らがこの「黄金州の殺人鬼」と称された犯人を特定した方法も驚くべきものであった。捜査官らは、犯行現場のうちの1ヵ所から回収されたDNAのプロファイルを、ある公開の家系図DNAデータベースにアップロードし、これによって容疑者の血縁者を特定したのである。警察当局はそれ以来、この戦略を用いて20件近くの他の未解決事件を解決しており、法医系譜学(forensic genealogy)という新しい分野の扉を開くことになった。

Ancestryや23andMeなどの民間DNAウェブサイトには数百万件のDNAプロファイルが登録されており、共通する一片のDNA断片から特定の人物の血縁者を見つけ出すことができるが、警察が検索を行うには裁判所の命令が必要である。この「黄金州の殺人鬼」の場合、当局はGEDMatchと呼ばれる、余計な機能のない公開オンラインデータベースを利用した。このデータベースは、テキサスとフロリダの2人のアマチュア系譜学者が運営するもので、誰でもDNA検査の結果を投稿することができる。捜査官らは、「レイプキット」から得られたDNAプロファイルをこのデータベースにアップロードし、犯人の遠縁にあたる人物を数人見つけ出した。次いで、系譜学者との協力により公的記録を用いて大規模な家系図を作成し、年齢と所在地がいくつかの犯行と適合する73歳のJoseph James DeAngeloに目星をつけた。検査を実施したところ、犯行現場から採取されたDNAが、DeAngeloの車のドアハンドルと彼が捨てたティッシュペーパーから得られたDNAと一致することが明らかになり、容疑者として同定された。

この2018年秋には遺伝学者らが、GEDMatchと同程度の規模をもち100万件のサンプルを有するデータベースにおいて、欧州系米国人(家系図サイト利用者の大半を占める)の60%に、「みいとこ(third cousin)」またはそれより近縁にあたる人が見つかる可能性があると報告した。データベースのプロファイルが300万件に達すれば、たとえ当人はDNA検査を受けたことがなくても、同様の方法で見つけることができる個人の白人は90%以上になると考えられる。このような現状を受けて、こうした家系検索はプライバシーの侵害にあたり、容疑者誤認の危険性を伴うと考える一部の倫理学者や遺伝学者は警戒感を強めている。

原文(英語版)はこちらから