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シャイな粒子を探す小さい検出器

A tiny detector for the shiest particles

Adrian Cho 

物理学者は今年、最もつかみどころのない素粒子であるニュートリノが、原子核を新しい方法で叩いていることを検出した。この成果は約40年にわたる探索が終わりを告げたことを意味するが、そのためにはニュートリノを検出するのに通常用いられる巨大なハードウェアは不要だった。電子レンジの重さくらいの移動式検出器で事足りたのである。

特定の原子核反応により生成されるニュートリノは滅多に他の物質と相互作用しないため、無数のニュートリノが地球を突き抜けている。しかし、稀にニュートリノは原子核の中性子を叩いて陽子に変え、自身は電子のような検出可能な粒子に変化する。もしくは陽子か中性子にぶつかり跳弾し、このとき原子核を弾き飛ばす。これらの相互作用はあまりにも低頻度であるため、検出器は的となる物質を何トンも有する必要がある。物理学者は的として、鉄からドライクリーニング用の液体にいたるまで、あらゆる物質を使用した。しかし、1974年に理論物理学者は、ニュートリノのエネルギーが十分低いならば、量子波動としてふるまい、原子核のすべての陽子と中性子に同時に反射されることを予言した。このような「コヒーレント散乱」は相互作用の可能性を大幅に上昇させるものの、原子核の低エネルギーの跳ね返りは検出困難である。

今年、81人によるCOHERENT共同研究チームは待ち望んでいたコヒーレント散乱を検出した。彼らは原子核が跳ね返った際に光を出す、ナトリウムを添加したヨウ化セシウムの大きな結晶から作成した、14.6キログラムの検出器を用いた。コヒーレント散乱を起こせるエネルギーの低さで、なおかつ跳ね返りが検出できるエネルギーの高さがある、米国テネシー州のオークリッジ国立研究所にあるスパレーション中性子発生施設からのニュートリノをこの検出器に当てた。

このような小さいニュートリノ検出器は今後、原子炉が核不拡散規制を遵守しながら稼働しているか等の原子炉の監視を行う際、あるいはさらに検出が困難な「ステライルニュートリノ」の捜索に役立つかもしれない。異なる原子核からのニュートリノのコヒーレント散乱を比較することにより、物理学者は原子核構造を新しい方法で探索できる可能性がある。しかし、増幅された散乱にも短所がある。物理学者が今まで以上に敏感な検出器で宇宙暗黒物質を検出する際、太陽からのニュートリノのコヒーレント散乱は干渉源となりうる。