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ピンポイントな遺伝子編集

Pinpoint gene editing

Jon Cohen

60,000以上の遺伝子異常がヒトの病気に関連しているが、そのうちの35,000近くは、ゲノム中の特定の位置における、たった1つのDNA塩基の変化という最小のエラーによって引き起こされている。研究者たちは今年、このような点変異を修正するための「塩基編集(base editing)」と呼ばれる新たな技術に関して大きな進歩を発表した。しかもDNAだけでなくRNAにおいても、である。研究者たちは既にこの進歩を利用しており、これは最終的には医療への応用につながる可能性がある。

塩基編集は、強力な研究ツールとして2012年に登場した「分子のハサミ」であるCRISPRを流用したものであり、ハーバード大学の化学者であるDavid Liuがその先駆者である。CRISPRは特定の場所でDNAを切断して、遺伝子の機能を破壊するエラーを導入することに長じている。しかしCRISPRは、DNAの4つのヌクレオチド塩基(A、C、TおよびG)の1つが別のものに置換されている点変異のような間違いの修正においては、安定した成果をもたらしていなかった。LiuのグループはCRISPRのツールボックスを改変して、DNAを標的の位置で切断せずに解きほぐし、1つの塩基を別の塩基に化学的に置換する塩基エディタを創り出した。昨年、Liuとその共同研究者たちは異常型のCをTに変換したが、今年は正しくないG(最も一般的な点変異)をAに置き換えることに成功した。また、同じく近隣のマサチューセッツ州ケンブリッジにあるBroad Institute所属のFeng Zhangが率いる別のチームは、塩基編集がRNA中のGをAに変えることができることを実証した。

中国の研究者たちは今年、病気の原因となる点変異をヒトの胚において修復し、塩基編集の力を証明した。彼らは胚を移植することは全く視野に入れておらず、また、修復が常に成功したわけではなかったものの、この偉業は、CRISPRという贈り物の恩恵は果てることがなく、塩基編集は「巨大な可能性」を秘めていることを証明している。