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新発見の大型類人猿

A new great ape species

Erik Stokstad

新発見の類人猿、タパヌリ・オランウータン(Pongo tapanuliensis)の世界にようこそ。ヒト科の新しい生存種として大型類人猿が最後に発見されたのは約90年前のことで、今年11月に研究者らによってオランウータンの第3の種がお披露目されたのは祝うべきことである。この歓迎の気分に一抹の不安を投げかけるのはインドネシアの脅威に曝された森林で、小さな個体群が1つだけ生存している。

今年まで、ボノボ、チンパンジー、2種のゴリラ、2種のオランウータン、そしてヒトが、大型類人猿の全体を構成していた。新しいオランウータン種は、これまで知られていたオランウータン種の1つが棲息した地域の南部である、インドネシアのスマトラ島に棲んでいる。もう1つのオランウータン種はボルネオ島に棲んでいる。DNA、解剖学的特徴、および生態学的特徴に基づいて同定されたこの新種は、棲息しているバタン・トルの森のあるタパヌリ地域の名にちなんで命名された。

3種のオランウータンのゲノムを比較したところ、オランウータンの進化史に関する洞察が得られた。現存するオランウータンたちの祖先は、海面が低くてランドブリッジが露出していた数百万年前に、マレーシアからインドネシアの島々に広がったと推定される。新たな研究によれば約340万年前に、スマトラ島北部にいたオランウータンはボルネオやスマトラ島南部にいたオランウータンから分化したが、スマトラ島南部のオランウータンがボルネオ島のオランウータンから分化してタパヌリ・オランウータンとなったのは、わずか67万4千年前のことであった。何がこのような種形成の誘引となったのかは不明であるが、およそ7万3千年前に起きた巨大火山の噴火がスマトラ島にいた2種の分化を促進し、結果として全ての同系交配が止まったと考えられる。

重大な危険が待ち構えている。わずか約800個体のタパヌリ・オランウータンが、孤立した森に生息している。1本の道路が1,100平方キロの生息地を分断しており、この森林も公の保護にもかかわらず不法な伐採によって縮小しつつある。これらに加えて決定的な脅威となるのが、計画中の水力発電ダムである。保護を唱える人たちは、この孤立した個体群を新しい種として認識することが、その窮状に対してより大きな注目を向けさせることになると期待している。