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タンパク質のデザイン

Proteins by design

Robert F. Service

 タンパク質は生命の役馬である。生命維持に必要な化学反応を促進させ、筋肉の牽引を可能にし、細胞間や細胞内の情報伝達を行い、侵入者に対抗する。タンパク質の多才さを目の当たりにし、研究者は独自のバージョンを作り出すことを長く望んできた。ある生物のDNAコードに小さな調整を加えることによって、数多くの既存のタンパク質を修飾してきたが、今年は、タンパク質修飾をまったく新しいレベルに持って行った。天然に存在するどれとも異なる一連のデザイナータンパク質を作り出し、新たな医薬品そして材料の土台を築いたのである。

 新しいタンパク質を一から設計することは、ある種の賭けとされている。望ましいDNAコードを書くことは十分に容易であるが、このDNAによってコードされる新しいアミノ酸の列が、どのように折り畳まれて複雑な3次元形状になるのかを知る方法がなかった。タンパク質においては形状が機能を決定することから、これは重要な問題である。しかし最近、計算生物学者による、デザイナータンパク質がどのように折り畳まれるのかを正確に予測するコンピュータプログラムの設計は、めざましい進歩を成し遂げている。そのような進歩によって、今年のデザイナータンパク質の躍進は可能となった。

 2月に、ワシントン州の研究者らが主導するチームが、この種のプログラムの1つを用いて、すべてのインフルエンザ株に対する免疫防御を同時に引き起こすことができる、万能インフルエンザワクチンとなる可能性のあるタンパク質を設計した。7月には、同じ研究者の多くが参加するチームが、自己組織化して中が空洞のケージを形成するタンパク質を作り出した。将来的に、その中に薬剤やDNA断片を格納して、さまざまな疾患の治療に用いることができると考えられる。別のチームは、同様のプログラムを用いて、タンパク質やRNA‐タンパク質複合体と同様に折り畳みの問題を呈する、3次元の折り畳まれたRNA分子を作製し、新たな研究の可能性を開いた。

 現在研究者らは、この技術を用いて、新規のバイオセンサーから、大気中の二酸化炭素を取り除く新たな方法まで、あらゆるものを作り出したいと考えている。生命は存在しうるすべてのタンパク質のごく一部しか作らないことから、タンパク質設計者には探索すべき広大な新しい領域がある。