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アフリカからの一回の移動で人類が世界中に広がった

A single wave of migration from Africa peopled the globe

Elizabeth Culotta

人類の歴史は、旅への欲求によって動かされている。アフリカで誕生したホモ・サピエンスは、この十万年の間に地球上のあらゆる場所に散らばり、各地に先住していたより古い類人と出会い、混血した。しかし研究者らは、現生人類がいつどのようにしてアフリカから移動したのかについて長い間議論してきた。移動は1回であったのか、それとも繰り返されたのか?

2016年、ゲノムデータの爆発的な増加のおかげで、現在アフリカ以外に住む人類の大部分は1回の移動による子孫であることがほぼ明らかになった。それ以前に移動があったとしても、この最後の移動によってほぼかき消されている。3つの研究において、研究者らはアボリジニのグループの協力を得て、世界中の広範囲にわたる地域に散らばって暮らしている集団の何百というゲノムを収集し、分析した。こうした地域には、これまでほとんどサンプルのなかったオーストラリア、パプアニューギニア、アフリカが含まれている。このようにDNAの記録をたどって、太古におけるヒトの集団が分かれていったプロセスが調べられた。

第1の研究では、長らく分離した地域と考えられていたオーストラリアから得られた83のゲノムが解析された。DNAを調べたところ、従来の説とは異なり、オーストラリアへの移動は初期に起こった1回だけであったことが示された。さらに、アボリジニとユーラシア人の祖先は、同じ時期、おそらくは7万年前ごろにアフリカ人から派生しており、それ以前のアフリカからの移動は1回だけであったことが示唆された。142のヒト集団から得られた300のゲノムを解析した第2の研究でも、アフリカからの移動は1回だけであったと報告しており、時期は不確かであるがおそらく5万年前に、アフリカ以外に暮らすすべての人類に分岐したという。

125のヒト集団に由来する379のゲノムを解析した第3の研究は、ほぼ同じ移動パターンを報告したが、若干の相違がある。パプアニューギニア人のゲノムの約2%は、より早い時期のアフリカからの1回の移動により、おそらく十万年前に派生した可能性があるという。化石を調べると、一部の現生人類はこのころまでに中東に到達したことが示され、アラビアやインドで石器使用の痕跡があることからも、このような早期の移動が示唆される。しかし、大量のゲノムデータは、この、より早期の移動は現存の人類の一部にその痕跡が認められるだけで、ほぼ完全にその影響を失っていることを示している。