Skip navigation

メタレンズに集まる大きな期待

Metalenses, megapromise

Robert F. Service

ガラスレンズは、人類最古の先端的な技術革新の一つである。ガリレオが木星の衛星を観測できたのも、アントニ・ファン・レーウェンフックが微生物を観察できたのも、大勢の人が物をはっきりと見られるようになったのも、ガラスレンズのおかげである。しかし、レンズの製法は何世紀も前からほとんど変わっていない。光が収差なく焦点に収束するように、ガラスなどの透明物質を研磨して作られてきた。ところが今、レンズのテクノロジーは大きな飛躍を遂げようとしている。今年、研究者らはコンピュータチップ製造のパターン形成技術を使用し、可視光の全領域を焦点に収束させることのできる世界発のメタマテリアルレンズ「メタレンズ」を作製した。メタレンズは製造費が安く、紙よりも薄く、ガラスより遥かに軽いため、顕微鏡、仮想現実表示装置、カメラ(スマートフォンに搭載されたカメラも含む)など、あらゆるレンズを変革する可能性がある。

メタマテリアルは、柱状や環状などの微小形状をもつ物質が配列されたアレイで構成され、全体として、通過していく光波を修正する機能を持つ。近年、研究者らはメタマテリアルをベースに、対象物周辺の光の進行を操作する「透明マント」や、光フィルター、アンテナを設計してきた。しかし、メタレンズ作製のためのこれまでの努力は、赤外線などの波長の長い光でしか成功しておらず、パターン形成技術は可視光を透過させる物質ではうまくいっていなかった。

今年、研究者らは、原子層堆積法として知られる従来のチップパターン形成技術を用いて二酸化チタンの柱状物アレイを精密にパターン形成させる方法を解明した。高さわずか600ナノメートルの柱状物は可視光を透過し、焦点を結ばせ、最大170倍の拡大率を実現する。これは最先端のガラス光学に匹敵する。研究チームは、技術検証のために、このメタレンズ技術を用いてホログラムを生成し、詳細な分光測定を実施し、この技術を応用して実現できることが他にもあることを示した。この先端光学技術によって、携帯電話がよりスマートになり新しい科学機器が生み出され、仮想現実ヘッドセットに変化がもたらされる今後に注目しよう。