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その手の中にゲノムシーケンシング

Genome sequencing in the hand and bush

Elizabeth Pennisi

ゲノムシーケンシングは、今年になって広く利用できるようになった手のひらサイズの機器のおかげで、生物学の研究室でも、そしてさらに重要なことに現場でも用いられる、ユビキタスなツールになりつつある。すでに、多数の研究論文を生み出している。

この機器は、ナノポアシーケンシングと呼ばれる画期的技術を使用したものだ。DNA鎖が細孔を通過する際に、塩基が固有の形でイオン電流を変化させるのを利用して、DNAから直接塩基を読み取る技術である。従来のシーケンシングと比べた大きな利点は、ナノポアシーケンサーはスタートアップの費用が比較的低く、理論上、無限の長さのDNAを解読できることである。ゲノムを切り刻み、後からコンピュータによって配列をつなぎ合わせる必要はない。さらに、迅速かつ携帯可能で、数時間で配列を大量生産できるため、バイオサーベイランス、臨床診断、疾患の集団発生の現地調査に使用できる可能性がある。

ナノポアシーケンシングは長年開発が続けられ、1年を超えるベータテストを経て、英国に拠点を置くオックスフォード・ナノポア・テクノロジーズ社が今年、最初の機器を市販した。この機器に基づく論文30報以上が、生物学のプレプリントサーバであるbioRxivにすでに収載されている。わずか数時間でエボラウイルスやその他のウイルスが同定され、腸内の微生物の配列が決定され、トウモロコシの真菌有害生物の5,300万塩基から成るゲノムが解読され、今月初めに報じられた通り、ヒトゲノムの配列が決定されている。国際宇宙ステーションの宇宙飛行士も、これを使って、土壌に生息する微生物の混合物の配列を決定した。この分野の古参の研究者は、これらの進歩にはピアレビューの雑誌から出版されているものがほとんどないことを指摘しているが、シーケンシングを用いたアプローチは、ゲノム解析が手の届くところにあると考えてもみなかった研究者の興味をかき立てており、今年がその転機になるとみている人々もいる。