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老いた細胞を殺して若さを保つ

Killing old cells to stay young

Mitch Leslie

高級な形成外科も老化を止めてはくれない。栄養補助食品も、テストステロン注射も、もう一度21歳に見えるようになると謳うシワ取りクリームであっても同じだ。しかし今年、研究者たちは経年劣化を遅らせる方法を―少なくともマウスで―示した。古くなった細胞を選択的に取り除くと、マウスは長生きし健康を維持した。

研究者たちが標的にした、弱った細胞は部分的な機能停止を呈していた。細胞老化と呼ばれる分裂能力を失った状態である。細胞老化は、使い古されてがん細胞になりやすくなった細胞が腫瘍化することを防ぐが、同時に個体の老化を促進すると考えられた。歳をとるにつれて再生を止める細胞は増え、死んだ細胞や傷ついた細胞を置き換える能力を組織から潜在的に奪ってしまう。そればかりか老化細胞は異常な細胞増殖や炎症などの問題の原因となる分子をも放出する。

老化細胞の排除が少なくとも「中年」のマウスにとって健康上の利益と長寿をもたらし得ることを示す最初の研究は、2月に発表された。マウスの心臓と腎臓の劣化は遅れ、高齢になるまで腫瘍ができることはなかった。記憶や筋協調といった点については、加齢性の機能低下が緩和されることはなかったが、それにもかかわらず、マウスは同腹仔の2割以上長生きした。

10月には、同研究チームは免疫系の老化細胞に狙いを定めた。老化免疫細胞は動脈を詰まらせるプラークに蓄積し、プラーク形成を助長しうる。アテローム性動脈硬化症を発症するマウスから老化免疫細胞を取り除くと、脂肪を含む飼料を十分に摂取していたとしても、動脈内の脂肪蓄積は60%減少した。

次なる問いは、「老化細胞を取り去ればヒトはより長く若いままでいられるか?」という、数十億ドルにも値するテーマだ。。どちらの研究も特定の物質に応答して老化細胞が一掃される遺伝子組み換えマウスを使った研究である。これはヒトにとって現実的ではない技術だ。しかし、研究者たちは老化細胞除去薬と呼ばれる、遺伝子に細工することなく老化細胞を殺す薬を創り出している。来年、彼らはそのうちの一つで関節炎患者を対象にした最初の臨床試験を開始する予定だ。