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2016年の注目すべき分野

Areas to watch in 2016

ニュースライターはある部分、未来の中で生きている。先のことを正確に知ることはできないが、昔の捕鯨船員のように、水平線を注視している。ここでは、ブレークスルー班の来年の「注目リスト」に上げられた項目をいくつか紹介する。

落下する物体
FALLING BODIES
フランスの科学者らが、これまで一度も行われなかった、おそらく最も有名な実験を宇宙空間で再現する、人工衛星の打ち上げを、今後2年間のうちに計画している。ガリレオは、2つの異なる材料でできた球をピサの斜塔から落下させ、重力の引力下では全ての物体が同じ速度で加速することを証明したという伝説があるが、実際にはそのような実験は行わなかった可能性が高い。しかし、MicroSCOPE(Drag-Compensated Microsatellite for the Observation of the Equivalence Principle[等価原理を観察するための抗力補償型小型衛星]に相当する仏語の頭字語)に関わる物理学者らは、実際に、チタンと白金ロジウムという異なる材料でできた2つの自由落下する円柱が、地球の重力から異なる引力を受け、わずかに異なる高さの軌道に乗るかどうかを検討しようとしている。何らかの差異があれば、アインシュタインの一般相対性理論の中心にある、重力質量と慣性質量は等しいという等価原理に反することになる。この実験は大胆な試みであるが、楽しみでもある。

誰がイヌを中に入れた?
WHO LET THE DOGS IN?
2016年は、イヌがどこから来たのかがついに解明される年になるのであろうか?何十年ものあいだ科学者は、いつどこでオオカミが家畜化され、われわれの仲間であるイヌになったのか、議論を続けている。提唱された中心地はヨーロッパからアジアまで広く及び、時間枠は15,000年前から30,000年以上前にわたる。2013年には、敵対する主要な派閥が停戦を宣言し、資料を出し合い、手に入れることが可能なあらゆる古代のオオカミとイヌの標本を求めて、世界中を探し回り始めた。現在、最終的な答えに近づいていると考えられ、その答えによって、家畜化に関する最大の謎の一つが解決される可能性がある。共同研究のリーダーの一人は、重要な発見が来年あるだろうと述べている。

重力波GRAVITATIONAL WAVES
新たにアップグレードされた検出器によって、物理学者はついに重力波を垣間見ることができるかもしれない。重力波とは、例えば2つの中性子星が互いに向かってらせん状に進むことによって、時空 に生じる小波である。今年、Laser Interferometer Gravitational-Wave Observatory(LIGO;レーザー干渉計重力波観測所)の科学者らは、ルイジアナ州リビングストンとワシントン州ハンフォードの長さ数キロメートルに及ぶ施設の再建を終え、2002~2010年の稼働時と比べて感度を10倍まで高めた。LIGOでは今年、3ヵ月分のデータが取られた。しかし、物理学者は検出器の調整をまだ行っており、来年後半にはさらに長いデータを取る予定である。一方で、ヨーロッパの研究者らは、イタリア・ピサの近くにあるアップグレードされたVIRGO検出器を稼働させる予定である。数年後にLIGOとVIRGOがそれぞれの設計感度に到達したときには、ほぼ確実に、通過する小波をとらえることができると科学者らは述べている。運がよければ、さらに早く見られるかもしれない。


イヌはオオカミから進化したが、いつどこで? まもなくわかるかもしれない。

元の記事を見る(英語):http://www.sciencemag.org/content/350/6267/1464.1