Breakthrough of the Year : Areas to Watch -注目すべき分野-
- Breakthrough of the Year : Ardipithecus ramidus -第1位 アルディピテクス・ラミダス-
- Breakthrough of the Year : The Runners-Up -第2位から第10位まで-
- Virus of the Year : The Novel H1N1 Influenza−2009年のウイルス:新型H1N1インフルエンザ
- Breakthrough of the Year : Scorecard -評価-
- Breakdown Revisited: Trying to Stay Afloat−経済崩壊再び:沈まない努力
- Breakthrough of the Year : Areas to Watch -注目すべき分野-
注目すべき分野
iPS細胞
2008年のブレークスルーは、成人の皮膚細胞を人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell、iPS細胞)に初期化して、さまざまな成熟細胞型に増殖させることのできる能力であった。この能力が、2010年の研究の新しい波を先導するであろう。研究者らはこのような方法を用いて、個々の患者からiPS細胞を作製し、生理的・遺伝的異常を調べたり、有望な治療法の試験に利用したりできる。これまでに1型糖尿病患者、パーキンソン病患者、その他10を超える各種疾患の患者からiPS細胞が作製された。さらに多くの研究者がこの分野に参入し、幸運ならば、これらの疾患について新しい洞察が得られて、2010年にはこの疾患数が伸びるであろう。
宇宙の眼
アルファ磁気スペクトロメータ(Alpha Magnetic Spectrometer、AMS)と呼ばれる革新的な宇宙ベースの粒子物理学実験装置が7月にようやく国際宇宙ステーションに運び込まれる。AMSは、反物質、暗黒物質、およびストレンジレットの証拠を探すために宇宙線を分析する装置であり、AMS実験国際チームを率いるのは、ノーベル賞物理学者のSamuel Tingである。当初は2003年に打ち上げが予定されていたが、コロンビア号の悲劇により延期され、実現しないものと思われた。しかし、2008年に米国議会はNASAにこの1050億ドルの装置を打ち上げることを義務付ける法案を可決した。

CREDIT: MIT
ようやく打ち上げ。
アルファ磁気スペクトロメータが計画より7年遅れで打ち上げられる。
エクソーム解析
2010年には、疾患の原因となる遺伝子を新たに発見するために、何千人ものヒトゲノムのたんぱく質コード域の塩基配列解析が行われるであろう。このような「エクソーム配列解析」により、不可解な遺伝性疾患の遺伝的原因がすでに明らかになってきている。DNAチップを用いてゲノムをスキャンし疾患リスクマーカーの有無を調べる、いわゆる全ゲノム関連解析で残された空白部分がエクソーム解析で埋まるかもしれない。近年では非常に人気があるものの、こうした解析ではありふれた疾患や身体的形質の遺伝性がほとんど説明できなかった。一部の研究者は、配列解析で見つかったまれな変異により、この遺伝学における「暗黒物質」が明らかになることに賭けている。
生化学ががんに勝つ?
1920年代に最初に発見されたがん細胞の代謝のねじれ(quirk)が、ようやく新しい治療によって元に戻るであろうか。多くの場合、腫瘍細胞はグルコースを分解するために通常の酸素要求経路から解糖と呼ばれる無酸素の代替経路に切り替わる。細胞の異常代謝を途絶させることはすでに多くの学会の話題となっており、バイオテクノロジー事業を開始する場合の事業計画や複数の臨床試験の目標ともなっている。
有人宇宙飛行
古きを捨て、新しきを得る…かどうかが決まる。30年近く貢献してきた米国のスペースシャトル全機が、2010年9月に引退する予定である。バラク・オバマ米国大統領は、人間を輸送できるNASAの次の打ち上げロケットを選択しなければならない。現在のアレスロケット設計を採用するか、既存の使い捨て型ロケットの改良機を使用するか、あるいは営利企業に安いオプションを要求するか、決断しなければならない。また、オバマ大統領は次の10年間に月に向かうのか、小惑星に向かうのか、火星の月に向かうのかも決める予定である。







